バンコク駐在で後悔する原因は、大きな事件よりも、赴任直後の小さな判断の積み重ねであることが少なくありません。
見た目の豪華さだけで住居を決める。ビザや届出を会社へ任せきる。日本と同じ感覚で道路を渡る。SNSで見た情報を確かめずに信じる。
一つひとつは些細に見えても、毎日の不便、余計な出費、安全上の不安、家族のすれ違いにつながることがあります。
タイで長く生活し、日本人家庭の暮らしや教育に関わってきた経験から、バンコク赴任で避けたい7つの失敗を整理します。
最終更新:2026年7月
バンコク駐在で避けたい7つの失敗
- 住居を豪華さや家賃だけで決める
- ビザや届出を会社へ完全に任せる
- 日本と同じ感覚で道路やバイクを利用する
- 就労や副業を軽い気持ちで始める
- SNSや知人の情報を確認せずに信じる
- タイの文化や法律を日本の感覚で扱う
- 家族の疲れや孤独を見過ごす
1.住居を豪華さや家賃だけで決める
バンコクのコンドミニアムには、プール、ジム、子どもの遊び場、広いロビーなど、日本では魅力的に感じる設備が整った物件が多くあります。
しかし、毎日の暮らしやすさを決めるのは、建物の豪華さだけではありません。
契約前に確認したいこと
- 勤務先までの平日朝夕の所要時間
- BTSやMRTの駅まで実際に歩ける距離か
- 雨の日でも移動しやすいか
- スクールバスの乗降場所
- スーパー、病院、薬局への行きやすさ
- 周辺の工事や交通騒音
- 部屋の日当たり、暑さ、カビ、排水
- 退去条件、修理費、敷金返還の条件
地図では近く見えても、歩道の状態、暑さ、渋滞、雨によって、実際の移動負担は大きく変わります。
できれば、契約前に平日の通勤・通学時間帯で移動してみてください。
家族世帯では、駅に近いことより、スクールバス、買い物、病院を含めた生活動線の方が重要になる場合もあります。
失敗を減らす考え方
「住みたい部屋」ではなく、「平日の生活を無理なく続けられる部屋」かどうかで判断します。
2.ビザや届出を会社へ完全に任せる
駐在員本人のビザや労働許可は、勤務先の人事担当者や代行会社が進めることが多いでしょう。
しかし、手続きを会社が担当していても、自分と家族の滞在期限や必要な届出を知らなくてよいわけではありません。
家族ごとに確認しておくもの
- パスポートの有効期限
- 現在のビザの種類と滞在期限
- 労働許可の有効期限
- 90日報告の対象と次回期限
- 住居届出の状況
- 再入国許可が必要になる条件
- 家族の帯同ビザの期限
タイで一定期間を超えて滞在する外国人には、TM47と呼ばれる90日報告が必要になる場合があります。
また、転居、出入国、ビザの変更などによって、手続きや期限の扱いが変わる場合があります。
会社へ任せる場合も、パスポートへ貼られた査証やスタンプ、申請控えを自分でも確認し、期限をカレンダーへ登録しておきます。
重要
ビザ、90日報告、住居届出、再入国許可などの条件は、滞在資格や出入国状況によって異なります。勤務先の担当者と公式窓口の両方で確認してください。
3.日本と同じ感覚で道路やバイクを利用する
バンコクでは、歩行者が横断歩道に立てば必ず車が止まるとは限りません。
一方通行の道路でもバイクが逆方向から来たり、車の間をバイクが通り抜けたりすることがあります。
信号が青でも、左右だけでなく、後方や曲がってくる車両まで確認する必要があります。
道路を渡るときの基本
- 信号だけを信用せず、実際の車両を見る
- 左右だけでなくバイクの動きを確認する
- 子どもを先に歩かせない
- スマートフォンを見ながら歩かない
- 車両が完全に止まってから渡る
- 夜間や雨天は特に慎重に移動する
また、バイクタクシーは渋滞時に便利ですが、事故が起きた場合のけがが大きくなりやすい移動手段です。
ヘルメットを着用できない、子どもを含む複数人で乗る、荷物が多い、雨が強いといった場合は、別の移動方法を選ぶ方が安全です。
自分で車やバイクを運転する場合は、タイで有効な免許と、加入している保険の適用条件を必ず確認してください。
4.就労や副業を軽い気持ちで始める
帯同する家族が、オンラインの仕事、個人レッスン、商品販売、相談業、現地企業での仕事などを始めたいと考えることがあります。
しかし、「自宅で少し行うだけ」「報酬が少額だから」「日本の口座で受け取るから」という理由だけで、タイで自由に仕事ができるとは限りません。
活動の内容によっては、滞在資格、労働許可、会社設立、税務などの確認が必要になります。
始める前に確認すること
- 現在のビザで予定する活動が認められるか
- 労働許可が必要か
- 勤務先や配偶者の会社規則に抵触しないか
- タイと日本のどちらで税務申告が必要か
- 顧客との契約や事故時の責任をどうするか
友人から「みんなやっている」と聞いても、それが適法であるとは限りません。
報酬を得る活動を始める前に、タイ雇用局、勤務先、必要に応じて税務や法律の専門家へ確認してください。
5.SNSや知人の情報を確認せずに信じる
バンコク生活では、日本人向けSNS、グループチャット、口コミサイト、知人からの紹介が役立ちます。
一方で、投稿された時期が古い、広告であることが明示されていない、個人的な成功例だけが紹介されているといった情報もあります。
確認が必要な情報
- ビザ、労働許可、入国手続き
- 学校の学費や入学条件
- 病院や保険の利用条件
- 住居の契約条件
- 送迎や運転手の個人紹介
- 投資、副業、高額商品の勧誘
- 営業日時や料金
口コミは「候補を知るため」に利用し、最終確認は公式サイト、契約書、学校、病院、会社などへ直接行います。
特に、個人の連絡先を紹介する非公式な送迎、前払いが必要なサービス、相場より極端に安い契約には慎重になる必要があります。
バンコクで注意したい詐欺については、次の記事でも詳しく解説しています。
6.タイの文化や法律を日本の感覚で扱う
海外生活では、日本で普通に行っている言動が、その国では失礼または問題になる場合があります。
タイでは、王室や仏教に対する敬意が重視されています。
特に王室に関する侮辱的な言動は、単なるマナーの問題ではなく、刑事上の問題になる可能性があります。
対面での会話だけでなく、SNSへの投稿や共有についても軽く考えない方がよいでしょう。
生活上で意識したいこと
- 王室や宗教を笑いの題材にしない
- 寺院や宗教施設では服装と撮影ルールを確認する
- 人前で相手を激しく怒鳴らない
- 相手の国や文化を日本と比較して見下さない
- SNSで未確認情報や個人情報を拡散しない
タイの習慣をすべて理解してから暮らし始めることはできません。
分からない場合は、決めつけずに尋ねる、謝る、確認するという姿勢が大切です。
7.家族の疲れや孤独を見過ごす
赴任者本人は、新しい職場で結果を出すことに集中します。
同行する家族は、住居、買い物、学校、病院、言葉、人間関係など、生活全体を一から作り直します。
同じバンコクに住んでいても、夫婦や親子が受ける負担は同じではありません。
起こりやすいすれ違い
- 夫は「家族のために働いている」と感じる
- 妻は「自分だけが生活を背負っている」と感じる
- 子どもは学校で頑張り、家庭では疲れを見せる
- 家族全員が「ほかの家族は楽しそう」と比較する
赴任直後は、問題が起きてから話し合うのではなく、週に一度でも家族の状況を確認する時間を作ります。
- 今週一番困ったこと
- 今週助かったこと
- 来週変えたいこと
- 一人で過ごす時間が必要か
- 学校や仕事で無理をしていないか
「バンコクへ来たのだから楽しむべき」と決めつけず、疲れている家族がいれば、予定を減らすことも必要です。
赴任後1か月の生活準備については、次の記事にまとめています。
赴任前・赴任直後の確認チェックリスト
□ 平日の通勤・通学時間帯に住居周辺を確認した
□ 家族全員のビザと滞在期限を把握した
□ 90日報告などの担当者と期限を確認した
□ パスポートや許可証の画像を安全に保存した
□ 道路横断とバイク利用のルールを家族で共有した
□ 仕事や副業を始める前の確認先を把握した
□ SNS情報を公式情報で確認する習慣を決めた
□ タイの文化や法律に関する基礎情報を確認した
□ 家族で週に一度、困り事を話す時間を決めた
まとめ|便利さより、毎日を安全に続けられるかで考える
バンコクには、日本人が暮らしやすい住居、学校、病院、買い物環境が整っています。
しかし、便利な都市であることと、日本と同じ感覚で暮らせることは別です。
住居は生活動線まで確認する。
手続きは会社任せにせず、自分でも期限を知る。
交通、仕事、情報、文化について、日本の常識だけで判断しない。
家族それぞれが感じている負担を確認する。
この基本を押さえることで、赴任直後の失敗や家族のすれ違いを減らしやすくなります。
最初から完璧なバンコク生活を目指す必要はありません。
一つずつ確認し、家族に合わない部分を修正しながら、無理なく続けられる生活を作っていくことが大切です。
主な情報確認先
・在タイ日本国大使館「安全の手引き 2026年版」
・タイ入国管理局
・タイ雇用局 e-WorkPermit
・外務省「タイ安全対策基礎データ」
ビザ、労働許可、税務、交通、法律などの条件は変更される場合があります。重要な判断は、勤務先と関係機関の最新情報をご確認ください。
0 件のコメント:
コメントを投稿