タイへの赴任後、夫が平日は仕事や会食、週末はゴルフで不在になり、「私は何のために一緒にタイへ来たのだろう」と感じることがあります。
夫から「付き合いだから仕方がない」「ゴルフも仕事の一部だ」と言われると、不満を伝えること自体が、仕事を理解していないように思えてしまうかもしれません。
しかし、問題はゴルフそのものではありません。
夫だけが仕事と自由時間を持ち、妻に家事・育児・海外生活の負担が集中している状態が続くことです。
この記事では、タイ駐在中のゴルフを一律に否定するのではなく、仕事と趣味の分け方、妻の負担の伝え方、回数・費用・家族時間のルールについて整理します。
最終更新:2026年7月
先に結論
- 「ゴルフに行かないで」ではなく、家庭に生じている負担を具体的に伝えます
- 接待か趣味かという言い争いより、回数・時間・費用・育児負担を整理します
- 夫婦それぞれに、同程度の自由時間を確保します
- 妻や子どもの体調不良など、ゴルフを取りやめる条件を決めます
- 妻が限界になる前に、家事代行や外部サービスも含めて負担を減らします
この記事の内容
タイ駐在夫のゴルフが夫婦問題になりやすい理由
タイでは、仕事上の関係づくりや社内の付き合いとして、ゴルフへ参加する駐在員がいます。
夫本人も、必ずしもすべてのゴルフを楽しんでいるとは限りません。早朝から移動し、取引先や上司へ気を遣い、帰宅後は疲れている場合もあります。
一方、妻から見ると、夫がゴルフに出かけている時間は、自分が家事や育児を一人で担う時間です。
夫にとっては仕事の延長でも、妻にとっては休日のワンオペ育児になります。
この見え方の違いを放置すると、夫は「仕事を理解してもらえない」と感じ、妻は「自分の大変さを理解してもらえない」と感じます。
ゴルフだけが問題ではない
不満が大きくなる背景には、次のような負担が重なっている場合があります。
- 平日も夫の帰宅が遅い
- 子どもの世話を一人で担っている
- 妻が自由に外出できる時間がない
- 日本の家族や友人へ気軽に頼れない
- 夫婦の会話が業務連絡だけになっている
- ゴルフ代や会食代の全体が分からない
- 家族旅行や子どもの予定よりゴルフが優先される
ゴルフを1回減らすだけで解決する家庭もあれば、夫婦の役割や時間の使い方そのものを見直す必要がある家庭もあります。
「仕事だから仕方ない」で終わらせず、4種類に分ける
ゴルフが仕事か趣味かを、二択で決めようとすると話し合いが止まります。
夫婦で予定を整理するときは、次の4種類に分けると話しやすくなります。
| 種類 | 例 | 夫婦で確認すること |
|---|---|---|
| 断りにくい仕事上のゴルフ | 重要な取引先、会社行事、役職上必要な参加 | 本当に出席が必要か、頻度を減らせないか |
| 半分仕事のゴルフ | 社内交流、知人との関係づくり、任意参加のコンペ | 毎回参加する必要があるか、優先順位を付けられるか |
| 個人的な交友関係のゴルフ | 同僚や友人との休日ゴルフ | 夫の自由時間として、妻の自由時間と釣り合っているか |
| 練習・個人ゴルフ | 打ちっぱなし、レッスン、自主練習 | 家族予定のない時間へ移せるか |
すべてを「接待」と一括りにすると、夫婦で調整できる予定まで動かせなくなります。
反対に、仕事上必要な参加まで「遊び」と決めつけると、夫も話を聞きにくくなります。
妻が抱えている負担を数字で見える化する
「いつもいない」「私ばかり大変」と伝えるだけでは、夫は実際の負担を理解できないことがあります。
1か月分の予定を見ながら、次の4項目を整理します。
確認する4項目
- 夫が家を空けた休日の日数
- 妻が一人で育児を担った時間
- 夫婦・家族で過ごせた休日
- 妻が一人で自由に使えた時間
たとえば、次のように伝えると、感情だけでなく事実を共有できます。
今月は4回ある週末のうち、3回がゴルフで、私は合計3日間一人で子どもを見ていた。私が一人で自由に出かけられた日はなかった。ゴルフを全部やめてほしいのではなく、この差を一緒に調整したい。
目的は、どちらが大変かを競うことではありません。
家庭内で、一方に負担が偏り続けていないかを確認することです。
費用も夫婦で共有する
ゴルフには、プレー代だけでなく、移動、飲食、キャディー、チップ、道具、練習などの費用がかかることがあります。
会社から精算される費用と、家計から支払う費用を分けて確認します。
- 会社負担になる費用
- 個人負担のプレー代
- 交通費
- 飲食費
- 道具やウェア
- 練習代
家計から出している場合は、妻側の趣味や自由時間にも同程度の予算を確保できているか確認します。
金額の大小だけではなく、夫婦のどちらかだけが自由に使える状態になっていないかが重要です。
夫を責めずにゴルフの不満を伝える方法
避けたい伝え方
- 「またゴルフ?」
- 「仕事と言えば何でも許されると思っている」
- 「家族よりゴルフが大事なんだね」
- 「ほかの家の夫はもっと育児をしている」
- 「タイの駐在員は遊んでばかり」
不満としては自然ですが、夫は責められていると感じ、仕事上の事情を説明することに終始しやすくなります。
伝える順番
次の順番で話すと、問題を整理しやすくなります。
- 事実:今月は週末のゴルフが3回あった
- 自分への影響:子どもを一人で見る日が続き、疲れが取れていない
- 気持ち:家族より仕事やゴルフが優先されているようで寂しい
- 具体的な希望:月に2回は家族で過ごす休日を先に確保したい
実際に使える伝え方
仕事上必要なことを認めながら伝える
仕事の付き合いがあることは分かっているし、全部断ってほしいわけではない。ただ、ゴルフが続くと私が休める日がなくなる。出席が必要なものと、調整できるものを一緒に分けてほしい。
自由時間の公平さを伝える
あなたがゴルフへ行く時間と同じくらい、私にも一人で外出したり休んだりする時間が必要。どちらかだけが自由時間を持つ状態は続けたくない。
家族時間を先に予定へ入れる
ゴルフの予定が埋まった後に空いた日を家族の日にするのではなく、来月は家族で過ごす日を先に2日決めたい。
タイ駐在前後に夫婦で決めたいゴルフのルール
家庭によって必要な回数や条件は異なります。
ゴルフの回数を一律に決めるより、家族の状況に合わせて調整できるルールを作ります。
| 項目 | ルール例 |
|---|---|
| 予定の共有 | 分かった時点で共有カレンダーへ入れる |
| 家族時間 | 月に2日は家族だけの休日を先に確保する |
| 妻の自由時間 | 夫の個人的なゴルフと同程度の時間を妻にも確保する |
| 帰宅時間 | 終了予定と帰宅予定を伝え、変更時は連絡する |
| 体調不良 | 妻や子どもの体調が悪い場合は、任意参加なら取りやめる |
| 費用 | 会社負担と個人負担を分け、月の予算を共有する |
| 連続する予定 | ゴルフ、会食、出張が連続する場合は別日に育児を交代する |
ルールは、夫を拘束するためだけのものではありません。
夫も予定を説明しやすくなり、妻も先の見えないワンオペ育児を減らすための仕組みです。
妻にも「夫に預ける」のではなく、当然の自由時間を作る
夫が子どもを見ることを、「妻を助ける」「子守をする」と表現することがあります。
しかし、夫婦の子どもであれば、どちらが世話をしても特別な手伝いではありません。
夫がゴルフへ行った翌日は妻が外出するなど、分かりやすく時間を交代する方法があります。
- 一人で買い物や美容院へ行く
- 友人と食事をする
- 部屋で一人で休む
- 勉強や仕事の準備をする
- 運動や趣味の時間を持つ
妻の自由時間は、家事をまとめて行うための時間ではありません。
何をするかを妻自身が決められる時間として確保します。
ゴルフを減らせない場合は、家庭の負担を別の方法で減らす
役職や仕事の性質によっては、ゴルフをすぐに減らせないこともあります。
その場合も、「減らせないから妻が我慢する」だけが選択肢ではありません。
- 夫が帰宅後に入浴や寝かしつけを担当する
- ゴルフの翌日に妻の自由時間を確保する
- 掃除や洗濯を外部サービスへ依頼する
- 食事を毎日手作りする前提をやめる
- 子どもの送迎方法を見直す
- 会社へ家族状況を相談できないか確認する
- 一時帰国や家族旅行の日程を早めに確保する
夫が参加を断れないとしても、家庭の負担を減らすためにできることはあります。
夫婦で一緒にゴルフを始めれば解決する?
妻もゴルフに興味があるなら、夫婦の共通の趣味になる可能性があります。
しかし、妻がゴルフを始めれば不満が解消するとは限りません。
- 子どもを誰が見るのか
- 夫婦一緒に参加できるのか
- 道具やレッスンの費用
- 妻自身が本当にやりたいのか
妻が夫の趣味へ合わせることを、解決策として押し付けないようにします。
ゴルフをしたくない人には、別の自由時間や趣味が必要です。
「ゴルフくらいで」と我慢を続けない方がよい状態
次のような状態が続いている場合は、単なるゴルフの回数ではなく、夫婦関係や家庭の安全に関わる問題になっています。
- 妻や子どもが体調不良でも予定を変えない
- 家計やゴルフ費用を説明しない
- 妻には自由に使えるお金や時間がない
- 不満を伝えると怒鳴る、無視する、侮辱する
- 子どもの世話を一切しない
- 帰宅予定や居場所を故意に隠す
- 妻が眠れない、食べられない、涙が止まらない状態になっている
この場合は、妻一人の伝え方だけで解決しようとしないでください。
勤務先の家族支援窓口、信頼できる家族や友人、医療機関、専門の相談先など、家庭の外へ助けを求めることも必要です。
孤独や心身の不調が続いている方は、バンコク駐在妻が孤独で限界を感じたとき|心を守るための相談先と対処法も確認してください。
赴任前に確認しておきたい7項目
赴任前は、夫本人も現地でゴルフや会食がどの程度あるか分からない場合があります。
回数を決めきれなくても、基本方針は話し合えます。
- 仕事上のゴルフや会食は、どの程度ありそうか
- 週末の予定をいつ共有するか
- 家族で過ごす休日を月に何日確保するか
- 妻の自由時間をどう作るか
- 子どもや妻の体調不良時はどうするか
- ゴルフや交際費の個人負担をどう管理するか
- 家庭の負担が大きくなった場合、誰に相談するか
赴任後に状況が分かってきたら、1~2か月ごとにルールを見直します。
よくある質問
月に何回までならゴルフへ行ってもよいですか?
すべての家庭に共通する適正回数はありません。
乳幼児がいる、妻や子どもの体調が安定しない、赴任直後で生活基盤が整っていないなど、家庭の状況によって負担は大きく変わります。
回数だけでなく、家族時間、妻の自由時間、費用、連続する会食や出張も含めて判断してください。
夫から「接待だから断れない」と言われます
まず、仕事上必要な参加があることは否定せずに聞きます。
そのうえで、すべてが同じ優先度なのか、回数を減らせるものはないか、減らせない場合に家庭の負担をどう補うかを話し合います。
夫も仕事で疲れているので、言い出しにくいです
夫が疲れていることと、妻が限界まで我慢することは別の問題です。
喧嘩の最中や帰宅直後を避け、予定表と負担を整理したうえで、話し合う時間を決めます。
ほかの駐在家庭も同じなのでしょうか?
ゴルフや会食が多い家庭はありますが、会社、業種、役職、上司、家族構成によって状況は異なります。
「みんな我慢している」と考えるのではなく、自分たちの家庭が無理なく続けられる方法を決めてください。
妻が友達や趣味を作れば解決しますか?
妻自身の居場所が増えることは役立ちますが、それだけで夫の家庭での役割がなくなるわけではありません。
妻の楽しみを作ることと、夫婦で家事・育児・家族時間を分担することは、別々に考える必要があります。
まとめ|問題はゴルフではなく、負担と自由時間の偏り
タイ駐在中のゴルフには、仕事上断りにくいものもあれば、調整できるものもあります。
すべてを遊びと決めつける必要はありませんが、「仕事だから仕方がない」という言葉だけで、妻が家事や育児を一人で担い続ける状態も健全ではありません。
ゴルフの種類、回数、時間、費用を整理し、家族で過ごす日と妻の自由時間を先に予定へ入れてください。
大切なのは、夫にゴルフをやめさせることではありません。
夫婦のどちらかだけが我慢し続けず、家族全員がタイでの生活を無理なく続けられる仕組みを作ることです。